子どものころから、絶え間なくうつろう自然の世界、人間の世界にいつも驚きを感じてきました。
左官を仕事にしてからは、手の技や材料の配合の違いだけでなく、
季節や天気によっても異なる表情や質感を見せる土を通して、
自然や人と対話してきたように思います。
仕事では、建築の中で製作を行いますが、
心の深いところでずっと感じてきたことを形にしたくなり、
作品を創ろうと思い立ちました。
土が秘めている力を引き出して表現したいと思ったのです。
土は地球が数十億年という長い時間をかけて生み出されたものです。
世界の様々な土地を訪れる度、新たな感動を覚えます。
自然の中にある土も、壁に塗った土も、時とともに変化していきます。
土を前にすると、人は自然の一部なのだという深い思いが湧き上がってきます。
久住有生